目の病気
加齢黄斑変性症
加齢黄斑変性症とは
加齢黄斑変性症とは網膜の真ん中にあり、ものの細かい部分や色を見分けるのに重要な部分である「黄斑部(おうはんぶ)」に異常が生じる眼の病気です。加齢と名のつく通り、年配者に多く、特に男性が発症する比率が高いという特徴があり喫煙者に多く見られていることが報告されています。
最近では患者数が急増しており、失明原因の欧米でトップ、日本で第4位に挙がっている疾患です。
●黄斑部
網膜のほぼ真ん中にある、物の細かい部分や色を見分ける働きをもつ細胞が集中しているところ。
●中心窩
黄斑の中央にあるくぼみで、物が最もよく見えるところ。この部分が異常をきたすと視力の低下が深刻になります。
加齢黄斑変性症の症状
黄斑部に異常が生じると、物がゆがんで見える、視野の中心が暗くなる・欠ける、視力が低下するなどの症状があらわれます。
自己チェック
●検査方法
目から約30cmはなして、メガネやコンタクトレンズをした状態で、片目ずつ表の中央の点を見つめます。
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線がゆがんで見えませんか?
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中心が見えないことはありませんか?
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部分的に欠けて見えませんか?
このように、見え方がおかしいなと感じたらすぐに眼科へご相談ください。
加齢黄斑変性症の見え方(例)
線がゆがんでみえる
中心が見づらい
部分的に欠けて見える
加齢黄斑変性症の種類
加齢黄斑変性には2種類のタイプがあります。
欧米人の方に多くみられる「萎縮型」と日本人に多くみられる「滲出型」の2タイプになります。
●滲出型
脈絡膜から異常な血管(脈絡膜新生血管)が生えてくることによって起こるタイプです。
新生血管は破れやすいため、出血したり、血液中の成分がもれ出して黄斑が腫れ、ものを見る細胞の機能が障害されます。病状の進行が速く急激に視力が低下していきます。また、早期から症状が出るのも特徴です。
●萎縮型
黄斑が萎縮してしまいます。
進行が遅く、ゆっくりと視力が低下していくのが特徴で、中心窩に萎縮が及ばない限りは視力は良好です。
ただし、「滲出型」に移行して急激に視力が低下することがあるので、定期的な検診が必要です。
加齢黄斑変性症の診断に必要な検査
蛍光眼底造影検査(FA・ICGA)や光干渉断層計(OCT)による網膜断層検査を行い、新生血管を検出し、確定診断をつけます。
蛍光眼底造影検査(FA・ICGA)
蛍光色素を含んだ造影剤を腕の静脈から注射し、眼底カメラで眼底の血管の異常を検査します。
新生血管や、新生血管からもれた血液がどこに存在するのかがよくわかります。
検査で使う造影剤は、「フルオレセイン(FA)」と「インドシアニングリーン(ICGA)」の2種類があり、必要に応じて使い分けます。
フルオレセイン(FA)
インドシアニングリーン(ICGA)
網膜断層検査
光干渉断層計(OCT)は、蛍光眼底造影と違い、造影剤を使うことなく、網膜の断面の状態を詳しく調べることができます。滲出型加齢黄斑変性では、網膜剥離や網膜のむくみ、脈絡膜新生血管などをこの断層像により観察できます。
加齢黄斑変性症の治療
加齢黄斑変性症の進行を抑えるために、薬剤やレーザーを用いて「新生血管」の増殖や成長を抑制します。
抗VEGF療法(硝子体注射)+ 光線力学的療法(PDT)
病状に応じて、抗VEGF療法(硝子体注射)と 光線力学的療法(PDT)の併用療法を行います。